こんにちは、ゆうたです。
ぼく自身、海外でプレーするようになってから知ったのですが、基本的に世界中の国にサッカーリーグは存在しています。国が変わればサッカーのスタイルやシステムも違い、興味深い点も多々あります。
2023年シーズンからプレーしているネパールのサッカーのシステムはかなり特殊だと感じています。
今回はそのネパールのサッカーについて解説していきます。
ネパールリーグのMachhindra FCと契約しました🇳🇵⚽️https://t.co/NStA0tMhfp
— 鈴木 雄太⚽️Yuta Suzuki🇳🇵 (@yutarn20) March 16, 2023
ネパールのサッカーの歴史
※All Nepal Football Association-ANFA Official Facebook Pageより
ネパールのサッカー大会の始まりは、1934年に当時の首相であるパドマ氏が開催したラーム・ジャナキ・フットボール・トーナメント(Ram Janaki Football tournament)だと言われています。
1973年にAll Nepal Football Association(通称:ANFA)が設立されました。
その後は、経済的理由や政治的理由等(他にも2015年に起きた地震や新型コロナウイルス等)で何度か中止になったシーズンはあるものの現在のリーグ名にもなっているマーティアズメモリアルAディヴィジョンリーグ(Martyr’s Memorial A-Division League)として開催しています。
一時期、ネパールナショナルリーグ(Nepal National League)と名称を変更して全国リーグと開催されましたが、2023年現在は全クラブ首都カトマンズで活動し、スタジアムもカトマンズ周辺の3つのスタジアム(Dashrath Rangasala Stadium、Chyasal Stadium、ANFA Complex)のみで開催しています。
他の国のリーグにはあるFAカップ(天皇杯)やリーグカップ(ルヴァンカップ)はなく、Gold Cupと呼ばれる8〜10クラブで開催される一発勝負のトーナメントが各地方であります。
2021年には、マーティアズメモリアルAディヴィジョンリーグとは別に独立したネパールスーパーリーグ(Nepal Super League)もスタートしました。
ネパールのサッカーリーグ
2023年現在、ネパールには2つのトップリーグが存在しています。
歴史のあるマーティアズメモリアルAディヴィジョンリーグと2021年にスタートしたネパールスーパーリーグです。
特殊な形ですが、説明していきます。
マーティアズメモリアルAディヴィジョンリーグ
※Martyr’s Memorial A Division League Official Facebook Pageより
歴史のあるマーティアズメモリアルAディヴィジョンリーグ(以下:Aディヴィジョンリーグ)は基本的には毎シーズンありますが、他の国に比べるとリーグの期間は短く、プレシーズン含め3〜4ヶ月で開催しています。
※ほとんどのローカル選手は6ヶ月契約。
2023年シーズンは、14クラブの各クラブホーム&アウェイの全26試合ですが、昨シーズンは1周のみの13試合と試合数も多くありませんでした。
3ヶ月で26試合とかなりハードなスケジュールで開催しているのもネパールリーグの特徴です。
リーグ構成は、Aディヴィジョンリーグを1部として2部にBディヴィジョンリーグ、3部にCディヴィジョンリーグと昇降格ありのピラミッド式になっています。
※Space 4K Television Official Youtubeより(Aディヴィジョンリーグのハイライト)
ネパールスーパーリーグ
※NSL – Nepal Super League Official Facebook Pageより
2021年にスタートしたネパールスーパーリーグは、ネパール初のフランチャイズ制を採用したリーグとなっており、Aディヴィジョンリーグが開催されていない時期に7クラブのみでカトマンズで始まりました。
主催者はNepal Sports and Events Management社でネパールサッカー協会と共に開催しています。
2021年には、Aディヴィジョンリーグが閉幕後に始まり、約1ヶ月間の短いリーグでした。
2022年シーズンには、3クラブ増やして計10クラブで開催予定でしたが、色々と問題があり開催されることはありませんでした。
※2023年は開催予定。
ネパールスーパーリーグのクラブは、オークション形式で選手(AディヴィジョンリーグやBディヴィジョンリーグのローカル選手)を獲得します。
※外国籍選手はオークション関係なく獲得できます。
なのでAディヴィジョンリーグでチームメイトだった選手がネパールスーパーリーグでは違うクラブで対戦することもあります。
噂では将来的にインドのサッカーシステムのようにネパールスーパーリーグが唯一の1部リーグになるのではと言われていますが、まだ誰にもわかりません。
※インドでも元々1部リーグだったI-Leagueと2014年にスタートしたインドスーパーリーグが2つの1部リーグとして10年ほど続いてきましたが、2022−23年シーズンにはついにインドスーパーリーグが1部、I-Leagueが2部という位置付けになりました。
※AP1 HD Sports Official Youtubeより(ネパールスーパーリーグのファイナルのハイライト)
ゴールドカップ
※Birat GoldCup Official Facebook Pageより
Aディヴィジョンリーグとネパールスーパーリーグの期間を足しても合計約4ヶ月のみなので、その他の期間(Aディヴィジョンリーグのシーズン前後や代表ウィーク中など)に開催されるのがゴールドカップです。
ネパールには、地方にも良いスタジアムがたくさんあるのでそこで8〜10クラブでの一発勝負(約10日間)のトーナメントを開催しています。
ローカル選手に聞いたところ、何個のゴールドカップが開催されているか不明だそうで、少なくとも20以上はあるそうです。
ぼく自身、代表ウィークでリーグ戦が一時中断中に2つのゴールドカップに出場しました。
※チームはリーグ開幕前にも3つのゴールドカップに参加したそうで、10日で6試合(最後は4日連続試合)したそうです。笑
リーグ閉幕後には、クラブとの契約も終了するため、即席チームでゴールドカップに参加することもあるらしいです。
また、ぼくがプレーしたBirat Gold Cupではオーガナイズ、スタジアム(芝の質)、観客動員、ライブ配信等、Aディヴィジョンリーグよりも良く地方にもサッカー観戦を楽しみたいファンは多くいると感じました。
※このゴールドカップには所属チームの選手たちと違うチームとしてプレーしました笑(リーグ戦の他クラブから助っ人選手あり)
※Kantipur TV HD Official Youtubeより(Birat Gold Cupのハイライト映像)
ローカル選手の海外移籍
ここまで書いてきたようにネパールリーグは短期開催(短期契約)だったり、経済的政治的理由で開催されなかったりと契約期間外は収入がないので選手にとっては厳しいリーグとなっています。
※チームメイト曰く、10年前は1年契約だったが、年々契約期間んが短くなり、今では6ヶ月のようです。
実際、2023シーズンは3月に開幕しましたが、昨シーズンにあたる2021-22年シーズンは2022年2月末に終了しているので約1年間リーグがありませんでした。
※リーグがない期間はクラブとは別(契約前後)にゴールドカップに出たりして収入を得ているようです。
そんなこともあり、代表選手等は近隣のリーグ(インドやモルディブ、インドネシア等)へ移籍しプレーする選手も少なくありません。
そして、2023年シーズンは多くの選手(2023年3月時点で40名以上)がオーストラリアに移籍しています。
現地のオーストラリア・ネパールサッカー協会(Australian Nepalese Football Association)が運営するアマチュアリーグのクラブでプレーしつつ、他にも仕事をして生活しています。
選手にとってはプロリーグでなくとも生活は安定し、収入も大きく増えているそうです。
しかし、中には代表選手も多く彼らは代表選出を諦めてこの道を選ぶと聞きました。実際にぼくの所属クラブの選手も2人、開幕して5節終了後にオーストラリアに移籍しました。(1人は代表選出後に断って)
人生は人それぞれなので選手自身の選択に関しては言うことはありませんが、ネパールサッカーにとっては大きな問題で少しでも早く解決するべきだと感じています。
※Bhakundo.np Official Facebook Pageより(ぼくの所属するクラブからオーストラリアへ移籍した2選手の記事)
まとめ
今回はネパールのサッカーについて書きました。
個人的にはネパールのサッカーは2つのトップリーグ(どちらも短期開催)、FAカップやリーグカップはなく、ゴールドカップなどかなり特殊だと感じています。
しかし、ネパールにもサッカーリーグが存在し、そこでプレーする選手たちがいます。
このブログを通じて少しでもネパールのサッカーに興味を持ってもらえたら嬉しいです。
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